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餃子が食べたい

メガネが最も必要な時、メガネは必ず手元にないのである

「あるキング(完全版) 著 伊坂幸太郎」を読んで

あるキング完全版はなぜ完全版か

書店で手に取り、野球好きで伊坂幸太郎好きな俺はまあ、ろくに立ち読みもしないであるキング(完全版)を買った

ちなみに、伊坂幸太郎は元SEらしい、そういえばオーデュボンの祈りの伊藤とかモダンタイムズの主人公とかSEだしね

で、完全版の意味を知った

てっきり、文庫本になって書き直したので完全版だと思った

が、なんと単行本版、雑誌版、文庫版と全部収録しているので完全版だという

 

感想

天才打者、田中王求を巡る物語

で、最初はこれは何か良く分からなかった

ストーリーを通じて描きたいものが見えてこなかったので、テーマ性が今一つ分からないし、マクベスの戯曲になぞらえる意味も分からなかった

ただ、どれが好みかというと、案外雑誌版が好みだった

文庫本は伊坂幸太郎的スパイスをかけすぎてちょっとくどくなっている印象を受けたし、収録順が単行本が一番前だからかポカーンとしたまま終わった印象が強い

結構あっさりしている雑誌版が好き

ネタバレになるけど、最終戦で宮田と中学時代の乃木が重なり合う場面が好きだけど、ほかバージョンだと削られていることもあるし

三つも同じストーリーを読んで、作者が伝記を書きたかった的なことを言っていることを斟酌すると、結局、意味じゃなくて伊坂幸太郎の考える一人の野球選手の人生を描いていて、そこまで細かいところ意味を考えていないんじゃないかなーって

魔女が「なんとかの森が動かなければ王となるだろう」と予言して、結局苗字が森って人物が絡んで物語が転じていったり、なんとなく面白至上主義というか、ただただ伊坂幸太郎が書きたいものを書いているだけっていう印象を受ける

 

伊坂幸太郎って絶対起きないことをギリギリ起きるかもしれないねって思わせるの上手いなーって

野球がテーマだけど、主人公はプロで8割打者で、絶対三振なんてしない天才打者だから、現実にはそんなこと起こらないのは明らかなんだけれど、伊坂幸太郎が書くとなんとなーく実際あってもおかしくないんじゃないかなとは思う

オーデュボンの案山子とか陽気なギャングとか、絶対にありえないものだけどこの世界のどこかではあってもおかしくないかなーって受け止めてしまう

からその辺巧いなーと

ただ俺が小説だとそういうものだと思って受け止めているからかもしれないけれど

(全然関係ないけれど、小説ってそういうものだなーって受け止めがちなタイプの人間には向日葵の咲かない夏(道尾秀介)を読んでみてほしい

絶対騙される)

 

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)

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